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栃木県立博物館で講演してきました! - 管理人
2022/11/04 (Fri) 06:49:58
管理人です。
さる11月3日、文化の日に
「栃木地学愛好会」のお招きで
栃木県宇都宮市の栃木県立博物館において
「なぜ市之川鉱山は かくも人々を魅了するのか!?
- 私の市之川遍歴を振り返って - 」
と題して講演させていただきました。
今回は、その魅了の原因として
1.鉱山としての品格
2.鉱山の地質的な特徴
3.巨晶の謎
の三つの観点から説明して参りました。
1.の品格については
「続日本紀」の記載から始まり
木内石亭、佐藤信淵、小野蘭山、宇田川榕庵へと続く
”白目石”の認識と鉱物学的な解明への流れに触れ
明治維新後、お雇い外国人のフレッシュヴィルやネットーらの鉱山訪問、
さらには、今回、「海南新聞」の記事ではじめて明らかになった
明治24年の和田維四郎の市之川鉱山視察などを挙げ
市之川鉱山が、日本鉱山史上に燦然と輝く
重要性と品格を有する孤高の鉱山であることを
改めて、強調しておきました。
2.と3.は先の鉱物同志会での講演と重なりますが
巨晶の解明には市之川礫岩の母岩の特性の解明が
望まれることを説明し、
巨晶の美しさを影で支える礫岩のさらなる研究が
進むことが望まれると強調しておきました。
市之川礫岩と鉱床との関連は、小川琢治の論文以来
100年を経過しても今なお、地道な研究が続けられており
内田欽介氏の炭酸塩溶脱空間説、佐々木望氏の火道角礫岩説などを挙げて
未だ解明されていない謎が人々を魅了し続ける根源となっていると
ややレトリックに話を締めくくらせていただきました。
当日は博物館の玄関で同会の鉱物展示も行われており
地元の鉱物や書籍に加えて
市之川鉱山の母岩付き結晶や立派な輝安鉱単晶、
別子銅山のキースラガーやKS銅などもあり
同会の見識の高さや熱心さに感心するとともに
博物館が「文化の日」で無料開放であることも相まって
多くの来館者や子供達にアピールが出来ていました。
「愛媛石の会」もこうした企画があってほしいな、と
いささか羨ましくも感じた次第です。
このような貴重な機会を与えていただきました
同会各位に改めまして厚くお礼申し上げます。